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平成29年度心身障害児者関係予算に関する重点要望

全肢連では障害児者の医療、教育、職業、生活等の制度の改善、生活環境の整備、障害者福祉全般の向上をはかるため、実情と問題点を提起し、一般社会の理解を深めるための運動を進めるとともに、行政及び関係方面への要請活動等を展開しています。

厚生労働省

制度

「障害基礎年金」について
  1. 所得保障について障害基礎年金の増額を図られたい。
 
「障害者優先調達推進法」について
  1. 就労支援A型施設、就労支援B型施設、その他の授産施設には歴史や実績、作業内容、利用者の障害程度によって、生産物に大きな差異がる。重度者を積極的に受け入れている施設や小規模施設にとっては、入札制度を利用して安価な製品を優先して調達する方法には課題がある。施設の内情を把握し、平等且つ公平な優先調達推進法への見直しを図られたい。
  1. 「障害者優先調達推進法」に基づく調達方針、調達目標など各団体に違いがあり、調達実績に大きな格差が生じている。国の指導により格差の是正と調達実績の拡大を図られたい。
 
☆「障害福祉サービス利用制度の見直し」について
  1. ☆障害を持つ国民の福祉に対し、国の責任を明確にするため、事業者並びにその認可行政(市町や県・国)との契約関係を改善するよう図られたい。
 
☆「訪問系サービス」について
  1. ☆サービスを提供できる場所が在宅等に制限されているが、制限を廃止し、必要なところで利用が可能となるよう改善を図られたい。
 
☆「地域生活支援事業」について
  1. ☆現在は都道府県・市町村への補助事業として実施されているが、一般の障害福祉サービスと同様に義務的経費の中で実施されるよう見直しを図られたい。

医療的ケア

「生活介護並びに入浴支援」ついて
  1. 居宅介護(ホームヘルプ)のうち、医療的ケアが必要な人に対する『訪問入浴』や『訪問看護ステーション』など入浴介護支援の更なる充実が進むよう工夫を促すとともに、指導を周知、徹底を図られたい。
 
☆「介護職の医療的ケア研修の開催条件の緩和」について
  1. ☆学校教員の場合、担任が3月までに研修を終えても4月に人事異動がある。介護一般概論と個人対応の部分とを切り離し、研修の簡素化を図り、研修の開催場所、開催頻度の増加を図られたい。
  1. ☆胃ろうの場合、食事に関しては特定行為業務従事者研修を受けた介護職員もできるようになったが、薬などに関しては注入することはできない。薬も食事と同様に介護職員ができるよう図られたい。
 
☆「医療的ケア全般」について
  1. ☆喀たん吸引研修修了者によって対応できるケースについては、看護師の必要性はなく、緊急時や相談時に対応できる連携機関、もしくは定期的ないし随時の看護師の訪問制度があれば十分である。また看護師が行うべき医療ケアを要するケースについては、利用当日の訪問看護で対応するのが合理的である。従って、現在の一律的な看護師配置義務はあまり意味を持たないため、障害者施設の通所施設および短期入所施設への「訪問看護サービス」の制度化を図られたい。
 
☆「サービス全体」について
  1. ☆障害福祉サービスは利用者本位のサービス体系という位置づけではあるが、実際様々な制限が設けられており柔軟な利用が出来ていないことが多くある。例えば障害者支援施設の利用者が自らの帰省時、自宅において移動支援や訪問介護のサービスを受けることが出来ない、移動支援事業では公用車の使用ではなく公共交通機関を使用しないとサービスが利用できないなどの制約を緩和するよう図られたい。

地域生活

☆「市町村施策への住民参画の推進」について
  1. ☆市町村が実施する施策については、必ず、障害を持つ市町村民の意見を聴取するなど障害者が参画できるよう推進を図られたい。
  1. ☆訪問看護支援体制(看護師、ヘルパ-等)の充実、拡充を図られたい。

重度障害児者

「長時間介護サービスの財源」について
  1. 重度障害者の長時間介護サービスを支えるために、その財源保障として地方自治体からではなく全国レベルの財源で賄う仕組みとなる「義務的経費化」と上限の撤廃の実現を図られたい。
 
「医療従事者の障害に対する理解促進と医療連携における医療情報の共有」について
  1. 障害者(重度障害者含む)が安心して身近な医療機関に通えるよう、地域医療従事者の障害に対する理解促進と、医療機関の連携による医療情報の共有を図るシステムの構築を図られたい。
 
「介護支援員の付添」について
  1. 障害児者が入院した際の付添に介護支援員を派遣した場合、レスパイトサービスではなく「見守り」の場合を個別の介護給付の対象になるように図られたい。
 
☆「支援人材の確保」について
  1. ☆支援する人材を確保するための充分な財源を準備するよう図られたい。
 
☆「重度訪問介護の訪問先の拡大」について
  1. ☆重度訪問介護の利用者だけでなく身体介護を要する障害児者も入院した時に、継続利用できるよう図られたい。

早期発見・療育

「早期発見・早期療育」について
  1. 地域に密着したNICU-GCUの整備、小児医療(リハビリテーションを含む)の施設充実を進め、合わせて「二次障害」の早期予防対策の確立を図られたい。
  1. NICU退院後や、障害児(障害の懸念のある乳幼児も含む)が在宅生活している場合の障害児とその家族に対する相談支援体制、訪問医療の充実など住みよい環境整備の改善を図られたい。

就労

「障害者就労の制度整備と定着化への努力」について
  1. ☆障害に応じた就労の場の確保(短時間就労)を図られたい。
  1. ☆障害の程度等に応じた雇用を促進するため、合理的配慮の雇用拡大施策を講じるとともに、差別解消法の支援制度の充実を図られたい。
  1. ☆障害に応じた就労の場の確保(短時間就労)を図られたい。
 
「就労支援」について
  1. ☆就労継続支援事業所の食事加算の減額及びこの施策が平成28年3月31日まで延長となったが、結局は利用者負担が増えるだけである。安心できる施策として制度化する事を図られたい。

住まい・グループホーム

「施設入所数の削減の見直し、施設建設の要件と基準緩和」について
  1. 国の方針に基づき、施設入所から地域移行をめざしているが、グループホーム等の整備が未だ不十分である。また障害者が高齢化すると入所の必要性が高くなるので、地域の整備状況に応じて施設入所数を削減する計画の見直しを図られたい。
 
「厚労省はじめとする関係省庁のグループホームに対する各種補助」について
  1. 「施設から地域へ」を謳う限り、地域での住居基盤が必要です。国が先導を切り、グループホームへの各種補助に向けたグループホーム開設準備基金を創設し、開設促進と地域への指導を図られたい。
  1. ☆グループホームへの国庫補助基準の大幅な引き上げを図られたい。
 
「親子入居のグループホーム」について
  1. 障害者の重度重複化と親の高齢化に伴い、親子で入居できるグループホームを必要とするニーズに対しては、その実現と推進を図られたい。
 
☆「グループホームの整備」について
  1. ☆グループホーム整備については、今後障害者支援施設が出来ない、また定員を削減していく方向もあることから、より事業所がグループホームを整備しやすいように国庫補助の大幅な引上げを要望する。また、全国で各県・市においては単独でグループホーム整備にかかる補助金を交付しているところもあることから、住んでいる県・市によって単独で補助金制度が「ある」「無い」という格差が生じている。どの県・市であっても補助金制度が制度化するよう各県市への働きかけを強く図られたい。
  1. ☆グループホーム設置を阻害している原因を至急調査し、その中に新たなシステム(仕組み)が構築されるよう整備を図られたい。
 
☆「さまざまな暮らしの在り方」について
  1. ☆一人暮らしの障害者が生活していく上で助けが必要なときは、事業所との契約とは関係なく連絡すれば対応してもらえるような24時間開設の拠点整備を図られたい。
  1. ☆グループホームの移動支援では、自治体によって移動支援が使えたり使えなかったりする。地域のばらつきをなくすよう働きかけを図られたい。
  1. ☆グループホームの利用者が自宅で過ごす時に、入浴等の支援のため居宅介護事業を利用できるように図られたい。

計画相談

「地域に密着した相談支援体制」について
  1. 障害児者の主体性を尊重した「サービス等利用計画」が策定されるよう、地域に密着した相談支援体制の充実・強化を図られたい。
 
相談支援アセスメント項目について
  1. ☆「通学」と「災害」を相談支援のアセスメント項目に追加するよう図られたい。

報酬改定

「報酬単価の個別重度加算」について
  1. 重度障害者(医療的ケアを含む)の短期入所には、介護職員等の人員加配が超重症児(大島分類の0番)のように医療行為の有無にかかわらず、該当児者のケアに対する加算可能となるよう報酬単価に個別重度加算を図られたい。
 
「相談支援の報酬単価」について
  1. 良い制度であるが、報酬額が現状にあわず、結果的に携わる事業所が少なく、多くの障害者に迷惑をかけている。一人で何名も抱える相談員、相談内容が雑になり、深く掘り下げることができなかったり、制度の良さが生かされていない場合も見受けられる。労働時間に見合った報酬単価に改定を図られたい。
 
「生活介護サービス激減緩和措置」について
  1. 平成27年4月報酬改定で生活介護サービス費の報酬単価が大幅に改定されたことにより、生活介護を主たる事業とする事業は、職員(従業員)の離職で利用者のサービス利用に不安が広がっています。早急に激減緩和措置を図られたい。
  1. ☆独立公平な立場で相談事業を実施することとあるが、報酬単価が安く独立採算事業は難しいと聞く。したがって相談員の給料も安く抑えられ、優秀な人材が集まりにくい構造となっているのではないか。それによって適切な支援が受けられない不幸な事態が発生する懸念がある。資格審査基準、運営体制を厳しくして、一生サポートしてくれる事業所として安心安全な運営ができる報酬単価の見直しを図られたい。
 
☆「障害者支援施設の充実」について
  1. ☆国では施設から地域移行とういう観点で障害者支援施設の定員を減するよう示しているが、親亡き後を託せるサービスとしてやはり必要不可欠である障害者支援施設の定員の削減は廃止するよう要望する。また、障害者支援施設の利用者のほとんどが最重度の利用者が多く、高齢化に伴い更なる医療的な支援が必要となってきている。そのため、理学療法士・作業療法士等の専門職を最低人員配置基準に盛り込み、より適切な支援が出来るような体制をとる必要があることから、より専門職を雇用し適切な支援を行うために十分な報酬改定を図られたい。

移動支援

「移動支援」について
  1. 移動支援の範囲を通勤、通学に拡充し、自冶体間の支援格差の解消するため地域生活支援事業から「個別給付」とするよう図られたい。
  1. ☆通学、通勤等の移動支援の拡充を図られたい。
  1. ☆移動支援は現在、知的・精神の手帳所持者は全て利用できるが、身体障害者は各市町村においてそれぞれ利用が制限されており不自然さを感じる。身体の手帳所持者は全て利用できるように市町村に徹底して欲しい。また、各市町村の支援格差を解消するために地域生活支援事業から個別給付に変更を図られたい。
  1. ☆通所施設利用者の送迎加算額の増額、または通所施設への通勤費補助の制度化を図られたい。また介護保険の移動支援が利用できるよう図られたい。

☆自立支援協議会

☆「自立支援協議会」の活用について
  1. ☆障害者行政を推進するため、また施設での就労移行事業が有期限であることによる障害者の辛い立場を踏まえ、ハローワーク、支援学校、企業、施設のネットワーク構築に関する事業を創設し、障害者雇用に関する情報収集と情報提供を図るとともに、障害者雇用の啓発に努めていただきたい。更に、障害者雇用施策の一環として、市町村等の関係物品購入、業務委託及び、市施設内での売店等の許可を就労支援施設或いは障害者を多数雇用している企業を優先されているが、さらなる制度等の充実を強図られたい。

☆障害者の65歳問題

☆「障害者の65歳問題、介護保険サービスの給付抑制」について
  1. ☆障害者が65歳になると、それまで受けていた障害者福祉サービスから介護保険サービスに優先適用される。障害者が必要とするサービスが介護保険サービスにはない場合がある。また、介護保険サービスを受けるには自己負担が発生する。障害者にとっては二重の改悪である。早急に改善されるよう図られたい。
  1. ☆財政制度審議会は社会保障の歳出抑制の具体策として、現在、介護保険サービスの自己負担は1割が原則であるが、これを2割負担に引き上げようとしている。また、要介護度の低い人に対する生活援助の原則自己負担化を図ろうとしている。このような給付抑制策は実施しないよう図られたい。
  1. ☆障害者の65歳問題について、通所については就労系事業の利用は継続して可能で、介護系は不可になっている。したがって生活介護の継続利用を図られたい。
 
☆「65歳以上障害者の障害者総合支援法と介護保険の併給」について
  1. ☆平成27年2月18日付けで、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課障害福祉課から各都道府県等に対して事務連絡で「併給可」の通達が出されているが、法制化することにより運用の徹底を図られたい。

文部科学省

心身障害者への理解の教育について

  1. 学校教育の中に心身障害者教育を取り入れて貰いたい。障害者問題は国民全体の問題であり、健常者との共生教育を通して、人間の尊厳を学びノーマライゼーション活動の大切さの理解を深める事ができると思う。
  1. 断片的でなくカリキュラムの中に組み込む継続的指導を図られたい。

特別支援学校等における医療的ケアへの充実について

  1. 特別支援学校における医療的ケアが必要な児童生徒に対して送迎バス乗車禁止を是正するために関係法令の見直しをしたうえで、学校教育の保障を図られたい。(介護添乗員の配置又は保護者の乗車は許可されたい)
  1. 特別支援学校において、人工呼吸器を使用した児童・生徒が通学できるように制度の改善を図られたい。その際は当該学校に対して、看護師の加配などの対応を検討されるよう図られたい。

高等学校に特別支援学級の開設について

  1. 特別支援学校の過大化対策とインクルーシブ教育実現のため、高等学校に特別支援学級の開設の拡大を支援されるよう図られたい。

医療的ケアの教育等について

  1. 介護職員等が一定の研修後行なえる医療的ケアについて、取扱いできるヘルパ-等の増員を図るため、費用の見直しを含めて事業所が参入できるように図られたい。
  1. ☆特別支援教育における医療的ケア体制の確立を図られたい。(自治体で対応)
  1. ☆看護師不足を補うために看護師養成学校と特別支援学校間の交流(実習)を積極的に推進するよう図られたい。
  1. ☆学校教育の場での介護職員等が一定の研修後行なえる医療的ケアについて、取扱いできるヘルパ-等の増員を図るとともに、厚生労働省と連携を図り制度設計の一層の促進を図られたい。

☆副籍制度の充実について

  1. ☆副籍制度においては、地域指定校の校長や担任教員の理解、施設設備、また当該児童・生徒の保護者の事情等の環境に左右されることなく希望する全ての児童・生徒が直接交流の機会を持てるようサポート体制を充実されるよう図られたい。

☆地域生活支援センターの整備充実について(文部・厚労)

  1. ☆在宅生活を継続するため、地域生活支援センターを生活圏域毎に整備し、医療、短期入所サービス等を提供すること。また、地域生活支援センターに学校機能を合わせ持たせることにより通学負担の軽減を図られたい。

国土交通省

JRの障害者割引の制限の特急料金までの拡大について

  1. JRの障害者割引の適応を特急料金(新幹線を含む)にまで拡大を図られたい。

公共施設の障害者用トイレについて

  1. 公共施設の障害者用トイレのベッド仕様を大人用介護ベッドにすること、姿勢保持用背もたれが取り外し可能となる仕様で設置するよう基準で明確にされるよう図られたい。

ITを活用したデマンド交通について

  1. 障害児者の移動支援として、ITを活用したデマンド交通(予約型乗合交通)を実施している市区町村への助成強化と、公共交通機関を基軸として福祉との連携、制度化を図られたい。

☆有料道路の障害者割引制度の適用範囲緩和について

  1. ☆現在、障害者割引制度を利用して有料道路を走行する場合、登録車両1台について割引が適用されている。重症心身障害児者の場合、登録は日常生活範囲に使う車を登録している場合が多く、年間3~4回家族旅行の場合は、荷物も多く登録していない車で出かけざるを得ない。そのため有料道路の割引が受けられず、走行距離も長く通行料も高額となる。また「リフト付バス」を利用する場合、車いすの固定が多く、乗車人数が少なくなり、本来ならバス1台で済むところを2台用意しなければならない場合も多くその場合高額な通行料が倍かかることとなる。このような事態を改善するため、有料道路における障害者割引制度について下記の通り改善見直しを図られたい。
    (1)「障害者本人以外の者が運転し、障害者本人が乗車する時」、対象自動車の範囲を1台から2台までに改善する事。
    (2)複数の障害者が乗り合わせる自家用車や団体活動の貸切バス等、登録車以外の適用については、障害児者乗車人数何人以上等の条件を設けるなどして割引制度が適用できるように改善する事。

内閣府

権利条約並びに障害者差別解消法の周知について

  1. 障害者権利条約をはじめ、障害福祉の法律、施策が一般国民に周知されていない懸念がある。より一層の障害児者に対する正しい認識や理解、福祉制度の周知徹底、更なる啓発活動の充実強化を図られたい。

障害児者への(地域)社会の理解不足~いじめ等について

  1. 障害特性への理解不足から、警察の誤認逮捕やいじめ等、また、行政を含む各種機関窓口での不当な扱い等が多く発生しており、現状の地域社会は、障害児者にとって決して安全な場所であるとは言えず、障害者の地域移行とは全くかけ離れた実態である。相談員による個別相談と地域や各種機関に障害者への理解を訴え続けて行くが、行政としても制度として障害児者を地域に機械的に放り出すのではなく、地域社会の環境を整えることを図られたい。

☆政府広報・啓発の拡充について

  1. ☆障害者が地域で自立して生活するためには、地域住民の深い理解や協力が最も重要である。障害者団体でも更に努力が必要であるが、行政から地域住民への啓発が行き届いていないことから障害者が地域で主体性をもって暮らす姿が想像できない。地域住民が法律の趣旨や内容について十分理解し、また協力してもらわなければ障害者が地域で安心して暮らすことは出来ない。現状の啓発活動だけでは到底、理解不足となっているのは当然である。あらゆる方法を用いて啓発活動に取り組むよう、国から各自治体に強く働きかけるとともに、行政が出来ないでのあれば、啓発用に確保している予算を各事業所に支給するような制度化の検討を図られたい。
※☆印:新規要望事項
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