平成27年度心身障害児者関係予算に関する重点要望
全肢連では障害児者の医療、教育、職業、生活等の制度の改善、生活環境の整備、障害者福祉全般の向上をはかるため、実情と問題点を提起し、一般社会の理解を深めるための運動を進めるとともに、行政及び関係方面への要請活動等を展開しています。
厚生労働省
早期発見・療育
- 障害の早期発見とその受容を早める体制作りと、同時に専門職(医師を含む)の養成に務め、乳児期から一貫した専門医療とリハビリテーションの強化を図られたい。
- ☆重度障害児の出生原因の究明、出生後の治療方法と予防対策の確立を図られたい。
- ☆NICU退院後や、障害児(障害の懸念のある乳幼児も含む)が在宅で生活している場合の障害児とその家族対する情報提供を含む相談支援体制、訪問医療の充実など住みよい環境整備の改善を図られたい。
重度障害児者
- 重度障害者の長時間介護サービスを支えるために、その財源保障として地方自治体からではなく全国レベルの財源で賄う仕組みとなる「義務的経費化」の実現を図られたい。
- 重度身体障害者の生活の場として、生活介護施設は必至である。適正な整備と共に、日中活動の場として必要な拠点となる通所施設の整備拡充を図られたい。
- 見守りが必要な障害児者またはコミュニケーションの取れない重症者の入院時のヘルパーは重要である。病院への配置ではなく、個別の介護給付の対象とするよう図られたい。
- 重度重複障害者が安心して生活できる施設整備を図られたい。
医療的ケア
- 医療的ケアの必要な重度障害児者を支援するために、日常生活の場(地域活動支援センター)に「訪問看護サービス」が利用できるように範囲の拡大を図られたい。
- ☆平成25年4月から施行された「放課後等ディサービス」を医療的ケアの必要な障害児が利用できるように看護師の配置を図られたい。
- ☆療養介護(医療型)(旧重症心身障害児施設)は、「昼夜分離せず施設内完結型サービス」を原則としているため、日中活動の場の選択と利用、即ち施設内の福祉サービス、施設外で受ける福祉サービスを選択できるように図られたい。
- ☆全身麻痺や上肢に麻痺により自分で歯磨きができない、栄養を経カンや胃ろうで取っている者の口腔内の歯科衛生行為を看護師ができるように図られたい。
- ☆医療的ケアが必要な障害児者に必要な医療機器用電源装置の購入時の補助、若しくは無償配備を図られたい。
制度
- 障害者総合支援法施行後3年を目処として見直される際、障害当事者と家族が参加し、総合福祉部会でまとめた「骨格提言」を尊重して実施を図られたい。
- 障害児療育に関連する事業所の経営基盤が弱体化している。特に広域性等、地域の実情を踏まえた対応を図られたい。
- 成年後見制度を障害者の日常生活の質を高めるために抜本的に見直し、身上監護、医療同意に法的な位置付けを図られたい。
- 地域生活支援事業が地方と都市並びに都市部内の格差解消のため、基金制度の創設を図られたい。
- ☆地域間格差解消のため、実施主体である市区町村を国、都道府県が財政・人員支援、指導する体制構築を図られたい。
- ☆身体障害者福祉法に包含されることのない肢体不自由児者独自の福祉制度の位置づけと基本的な理念の構築を図られたい。
- ☆平成27年3月までに義務付けられる「サービス利用等計画」の作成を促進するため作成員の養成と報酬単価の見直し及び研修内容の充実を図られたい。
- ☆専門的な職種が関わる福祉関係施設の指定管理者制度への移行・切り替えに当たっては、利用者に不利益が生じないように図られたい。
- ☆障害者総合支援法にパーソナルアシスタンス制度の導入を図られたい。
障害認定、支援区分
- 身体障害者手帳の障害名記載においては、複数の障害を持っていても、一つの等級が重度となる と(特に1級)手帳には総合等級として記載され、各々の障害名並びに等級が記載されない場合があるので、総合等級ならびに各障害別等級の記載を義務付けるよう図られたい。
- ☆日々体調の変化が激しくその対応には医師、看護師を必要とする障害児者の障害支援区分の認定に当たって、見守りや医師、看護師の必要性を勘案し加えるように図られたい。
相談支援
- 相談支援事業に家族を含むピアカウンセリングが機能的に活動できるように相談事業に位置付けを図られたい。
災害時・緊急時
- 災害時や緊急時における障害者の医療、短期入所施設の確保と体制の充実を図られたい。
- ☆日頃の備えとして、災害時要援護者だけでなくすべての人の緊急時支援の為にICTを活用した「支援情報システム」の有効な活用を図られたい。
- ☆積雪地域、特に山間部の計画、施策の強化を図られたい。
就労
- 障害者の就労が長続きし(離職しない)、安定して仕事に専念出来る様、社内環境の整備、職員教育を徹底し、福祉関係者と企業関係者の連携強化を計り生活・就労支援の強化と就労支援当事者の給与支援を図られたい。
- 「ジョブコーチ制度」は知的障害者を中心に進められている。肢体不自由者に対する制度の充実を 図られたい。
- ☆障害者が企業やNPO法人などを起業した場合でも、雇用支援の各種助成事業や、相談援助などの就労支援サービスが受けられるよう図られたい。
地域生活
- ☆肢体不自由者の老後の施設として、老人施設と併設した新しい居住態勢の構築を図られたい。
- ☆障害者(重度障害者含む)が安心して身近な医療機関に通えるよう、地域医療従事者の障害に対する理解促進と、医療機関の連携による医療情報の共有を図られたい。
- ☆24時間対応型の相談や一時サービス提供体制など、地域で安心して生活できるサポート支援体制の構築を図られたい。
短期入所
- 重度障害者(医療的ケアも含む)に対応できる短期入所の必要度が増している。短期入所を自宅から気軽に通える地区に既存施設のベッド増、及び新設施設のベッド数を多く確保できるように設置し、重度心身障害児者とその家族の負担軽減と利便性を高めるよう各都道府県や市町村に指導並びに支援を図られたい。
- 親の高齢化に伴い緊急一時入所の必要度が増している。療護施設、重心施設等の福祉施設にて対応できるように支援(財政的支援を含む)を図られたい。
住まい
- 全介助を必要とする肢体不自由児者が利用できるグループホームを設置推進するために建設費補助額及び各種サービスの報酬単価の充実を図られたい。
- ☆全介助を必要とする肢体不自由児者が在宅および施設から地域生活の移行先としてのグループホームの設置促進のために建設費補助、運営に対する支援の強化を図られたい。
- ☆グループホームを市区町村が計画的に整備できるよう国や都道府県は指導、支援を図られたい。
移動支援
- 移動支援の範囲を通勤、通学に拡充し、地域生活支援事業から「個別給付」とし、自冶体間の支援格差の解消を図られたい。
- 短期入所先からの日中活動の場への移動を地域生活支援事業の移動支援に盛りこむよう図られたい。
- 入所施設利用者が社会参加や通院などのための外出支援を可能にするよう移動支援の拡充を図られたい。
- 肢体不自由児者の移動には自動車が必要です。全国一律に福祉車両(リフト付)の購入時の補助制度の創設を図られたい。
所得保障
- 障害基礎年金・特別障害者手当を拡充し、所得保障の充実を早急に図るとともに、地域社会で自立した生活が営めるよう所得、手当等の給付制限の緩和を図られたい。
- グループホームの「住宅手当(家賃補助)」さらなる充実と、地域で公営、民営住宅で生活している障害者への拡充を図られたい。
- ☆住み慣れた住居での生活が維持できるよう固定資産税等の優遇措置を図られたい。
報酬単価
- 地域生活の充実のために事業運営上可能となるように短期入所の単価アップを図られたい。
- 重度障害者(医療的ケアを含む)の短期入所には、介護職員等の人員加配が可能となるよう報酬単価に個別重度加算を図られたい。
- 医療的ケアの必要な障害者が、日中の生活の場で医療的ケアを受けられるよう看護師の常駐配置 の義務化と、それに伴う報酬単価を加算されるよう図られたい。
- 障害支援区分には、医療の必要度が反映されておらず、医療的ケアを考慮した報酬の加算など報酬単価設定の仕組みの構築を図られたい。
- ☆障害福祉サービス事業における「送迎加算」要件の緩和を図られたい。
- ☆施設職員、ヘルパーが安定した生活を得られる報酬が確保できるよう、報酬単価や加算等の考慮を図られたい。
補装具費
- ☆補装具の使用年数については、障害の現状や体型の変化に対応して支給されたい。
- ☆簡易型電動車いすの安全性、性能は向上している。車輌での移動など便利性も高いため、手動自走ができない障害者も利用できるよう、補装具費支給要件の緩和を図られたい。
文部科学省
- 地域の学校に多様な障害児の受け入れ、多くの障害児の在籍と障害の多様化・重度重複化対応する事が可能な教員の養成及び教員の増員及び医療的ケア体制の確立を最重要課題とし、常勤対応とされたい。
- 児童生徒のニーズを的確に把握し、健やかな児童生徒の育成には、教員・保護者並びに関係者の連携情報の共有は不可欠である。特別支援教育コーディネーターや特別支援教育支援員の更なる専 門性の確保と増員を急務とされるよう図られたい。
- 個別の支援教育を進めるうえで、支援学校だけでなく、障害児が通う幼稚園や特別支援教室に教育上必要なPT・OT・ST等を配置するよう図られたい。
- 高等学校に特別支援学級の開設を図られたい。
- ☆特別支援学校の過大対策を肢体不自由児校の知肢併置で行われているが、障害種別に沿った教育の一層の充実を図られたい。
- ☆平成27年3月の特別支援学校卒業生から適用される就労アセスメントが体験学習の一環である実習が生かせるように図られたい。
- ☆高等学校、大学の入試制度をはじめ、その後の学校教育における合理的配慮がなされるように教育機関に対し指導を図られたい。
国土交通省
- 学校等が避難時に対応できるようにバリアフリー化の推進、エレベータの設置の義務化など更なるユニバーサルデザインでの整備強化の指導を図られたい。
- JRの割引運賃の距離制限の撤廃及び特急料金を割引対象に加え、移動の支援を図られたい。
- 遠隔地に点在する特別支援学校寄宿舎や入所施設への送迎は障害児・者が同乗する片道のみに適用される。又、団体活動の貸し切りバス、地方で借りるレンタカー等登録車以外の適用等、広域性を考慮した適用範囲等、抜本的な制度の拡充を図られたい。
- 公共施設の障害者駐車場に降雪や降雨に考慮して、屋根設置の義務化を図られたい。
- 交通機関のプラットホームに防護柵を早急に設置できるように更なる支援を図られたい。
- ☆交通バリアフリー法の数値目標達成に向け、遵守指導を図られたい。
- ☆交通バリアフリー法の適用外となる、地方公共交通機関の整備は財政難により進んでいない現状がある。大都市と地方の格差解消のため財政的支援を図られたい。
- ☆公共施設の障害者用トイレに大人用介護ベッドの設置と、姿勢保持のための取り外し可能な背もたれの設置を図られたい。
- ☆離島からの通院などには車輌での移動が必要である。フェリー運賃の割引制度に車輌も含むよう支援を図られたい。
- ☆障害児者の移動支援として、ITを活用したデマンド交通(予約型乗合交通)を実施している市区町村への助成強化と、公共交通機関を基軸として福祉との連携、制度化を図られたい。
総務省
- ☆災害対策基本法の改定を受けて要援護者名簿の作成、震災時における要援護者支援の地域防災計画について当事者団体を含む関係者を交えて見直しを図るように指示されたい。
- ☆グループホーム開設に伴う、消防法によるスプリンクラーの設置に対する一層の助成を図られたい。
内閣府
- ☆障害者権利条約をはじめ、障害福祉の法律、施策が一般国民に周知されていない懸念がある。より一層の障害児者に対する正しい認識や理解、福祉制度の周知徹底、更なる啓発活動の充実強化を図られたい。
※☆印:新規要望事項