令和5年度心身障害児者関係予算に関する重点要望
厚生労働省
(1) 今後のワクチン接種において、基礎疾患の14項目に限ることなく肢体不自由児者(災害時要配慮者を含む)、支援施設等職員に対してワクチン接種順位が優先的な位置付けとなることを要望します。
2.障害基礎年金・特別障害手当
(1) 施設入所者、在宅障害者が障害福祉サービスを受け、自立して暮らすための生活保障として障害基礎
年金の他、特別障害者手当、支援給付金、自治体独自の特別障害者等手当(地域で支給額が異なる)があります。親の高齢化が進みいつまでも生活支援を続けることはできません。障害基礎年金は年金法で稼得能力の低下に伴う給付とされ老齢基礎年金を根拠としておりますが、障害のある方に対し稼得能力の低下との位置付けには、無理があります。自立生活のための新たな施策を要望します。
(2) 国民年金と違い障害基礎年金を「生活保障の一環とし位置付ける」なら課税世帯、非課税世帯など支給
基準を設け生活保障としての評価で見直しを要望します。
3.障害福祉サービス「訪問系」の実態に沿った給付
(1) 第6期障害福祉計画で訪問系サービスを現に利用している者の数、障害者等のニーズ、施設入所者の地域生活への移行者数、平均的な1人当たり利用量等を勘案して、利用者数及び量の見込みについて調査を行ったと承知しております。調査の結果から自治体の施策に差が出ていると思われますが課題と来年度事業でその課題を是正する諸施策を示してください。示すことを要望します。
(2) 全ての障害者支援区分において支給額実態が行政単位で異なるとしたら、基本的生活権が歪められ、住んでいる地域で適切な障害福祉サービスを受けることができないことは不合理です。
国において障害福祉サービスの支給に係る量の公正化と質の向上を要望します。
(3) 重度訪問系サービスについて、居宅と共同生活援助居住者のサービス支給に大きな差があります。
利用者の居住実態に沿った公平なサービスとなるよう要望します。
(4) 重度訪問介護サービス単価が身体介護サービス単価より安価な設定の改善と介護事業所が重度訪問介護サービス事業を取得できるようになる改善を要望します。
4.共同生活援助事業の支援体制の充実(支援員の確保を含む)
(1) 重度重複障害者(医療的ケアの方を含む)が利用できるグループホーム設置を障害福祉計画に明示するとともに都道府県計画、市町村計画にも具体的な計画となるよう要望してまいりました。
グループホーム建設では国の助成制度のほか独自の助成を行っている自治体もありますが、建設費以外に必要な経費が多額となることから自治体に対し義務的な支援制度化について検討することを要望します。
(2) グループホーム建設にあたって居室、トイレ、浴室、玄関、廊下等いたるところにバリアが存在していることを踏まえ、バリアフリー加算を創設して設備整備費の引き上げることを要望します。
(3) グループホームで居住する重度障害のある支援区分6の利用者4人の場合、指定上の世話人配置基準4:1とすると世
話人は1人、支援員は区分6で2.5:1なので支援員は1.6人、合計して2.6人が4人の重度障害者を支援することになりま
す。利用者に対し世話人・介護人の配置は現状とかけ離れており利用実態に沿う配置基準の見直しと報酬の改定を要
望します。
(4) 人材不足が課題となっておりますが適切な報酬単価となっているのか、また、必要量の調査及び人的配置についても調査項目に入れ実態に沿う計画となることを要望します。
(5) 社会保障審議会障害者部会で新たなグループホームのサービス類型として従来からあるサテライト型住居が一部の者にとどまっているとして一人暮らし等について創設を検討されようとしていますが、重度障害者(医療的ケア含む)が利用できるグループホームの設置は高齢化社会で家族介護ができない家庭が増加し行き場のない社会問題化しつつあり重度障害者に特化した新たな類型としての検討を要望します。
5.特定障害者給付(家賃)対象の拡充
(1) 「特定障害者給付(補足給付)」は全国一律で1万円となっていますが、在宅で親の支援と障害基礎年金等で生活している方が多く、地域経済や全国物価地域差指数を考慮した特定障害者給付(家賃助成)制度の拡大を要望します。
6.地域で安心して健全な生活ができる
(1) 「医療的ケア児等医療情報共有システム(MEIS)」は全国どこでも必要な医療を受けられるように、かかりつけの病院
(かかりつけ医)以外でも医療等に関する情報を共有していくことが運用の目的です。
現在の進捗状況と全国どこでも利用できる環境の整備を早急に図られることを要望します。
8.重度訪問介護等国庫負担基準と報酬改定
(1) 重度訪問介護・重度障害者包括支援について、令和3年度の報酬改定で国庫負担基準が微増しました。国庫負担基準の上限を設定するのは市町村間のサービスの目安とバラツキをなくすためとされていますが、自治体によっては財政負担が高額となり居宅サービスの利用抑制につながっていることは否めません。重度障害者の必要な利用時間など適切な評価と国が定める制度を全国一律とすることで地域間格差が生じない制度を要望します。
(2) 令和3年度の報酬改定で、医療的ケアの必要な重症心身障害児者の日中活動の場に看護師を常勤換算で配置することが盛り込まれましたが、現状の報酬単価では看護師の常勤配置や複数配置が厳しい状況であることを理解いただき、医療度に応じた加算を充実することを要望します。
9.短期入所(ショートスティ)等の必要な施設整備
(1) 令和元年度から「医療型短期入所に関する実態調査」を実施するとともに、医療機関の協力を 求めるため地方自治体に「医療型短期入所事業所開設のためのガイドブック」を作成し周知しているとのことですが、実態調査ではどのような結果がでていましたか、医療型短期入所の設置に向け自治体に必要な支援策を講じるよう要望します。
(1) 「医療的ケア児総合支援事業」は第2期障害児福祉計画に係る基本指針において令和5年度末までに各都道府県、各圏域及び各市町村に医療的ケア児等コーディネーターを配置することが盛りこまれました。配置状況を見ると行政の直営・民間委託と形態はさまざまですが、令和3年度末の配置状況と近年は核家族化が進み在宅で一人悩み子育てをしている保護者も多くなっています。特に相談支援は重要であり情報提供を含め適切な医療・療育を行うためにも全国的な配置促進の支援と配置数に応じた具体的な養成研修を行う体制整備とともに支援の強化を要望します。
(2) 医療的ケア児者に対応できるメディカルショートやレスパイトができる療育施設は全国で不足しており、病院や診療所で受け入れが可能となるよう制度上の確立を要望します。また、医師が常駐できる医療型療育センターのサテライト型を含め都道府県等で設置している施設で可能となる体制整備を要望します。
(3) 入院時のヘルパー利用はコミュニケーションが困難な障害児者が入院した場合、重度訪問介護サービスの利用者だけでとなっていますが、居宅で身体介護サービスを利用している場合も派遣が可能となるよう対象範囲の拡大をお願いします。
(4) 医療の面で小児から成人に移行する際の問題があります。小児科から他科へスムーズに移行できる仕組みづくりと併せて障害児者の特性を理解してくれる医師の育成を要望します。
(5) 介護現場に従事する看護師の数が少なく、確保するのが困難です。看護師は介護時のような力仕事のない医療現場を希望する傾向があります。介護現場に来てもらうためにも、医療現場との賃金格差を報酬単価増で評価するのではなく介護現場での医療専門職としての評価で是正するように要望します。
(6) 重度重複障害・医療的ケアを必要とする方の介護に従事する専門的な人材を育成するための制度(財政支援を含む)の検討を要望します。
(7)マイナンバーカードの利用の見通しについて障害者手帳、保険証、MEISなど一枚にまとめていただき、各種手続きの簡素化の促進を要望します。
11.通勤・通学での移動支援について
(1) 移動支援制度は地域生活支援事業で自治体の判断で認可される必須事業とされていますが、自治体間で利用の在り方が異なっているため地域間で差が生じ公平性がありません「生活、就労、教育」についてどのように考えますか。全国一律の制度となることを要望します。(文部科学省再掲)
12.災害時避難行動要支援者の個別避難計画
(1) 「災害時個別避難計画」作成を関係部局で総合的に取り組み福祉専門員が参画するとき地方交付税
措置がされるとのことですが、地方交付税の性格から具体的な財源とならず福祉専門職としての評価か ら作成を義務化し、障害児者福祉制度の中に災害時個別避難計画として打ちだしその計画に基づき避難訓練を実施できるように報酬上も評価できるように要望します。
13.災害時の医療的ケア児者対策
(1) 医療的ケアの必要な障害児者にとっては停電は命取りになることから、災害等による停電対策として、人工呼吸器用自家発電機、外部バッテリー(充電器、インバータ含む)蓄電池などは「用具の製作、改良又は開発にあたって障害に関する専門的な知識や技術を要するものとされ日常生活用具給付事業に該当しないとされましたが、災害時避難に際し膨大な医ケアの荷物を持って避難所に医ケア児者を連れて行くリスクを考え避難所に行けなく避難先が確保ができない場合があります。災害時に自宅での避難生活を可能にするために、発電機、外部バッテリー、蓄電池等について特例として日常生活用具給付事業に追加できないか、また、自宅の改造、耐震化(シェルター等)の改修補助についても要望いたします。
文部科学省
1.心身障害児理解の教育について
(1)インクルーシブ教育の実現に向け、小・中学校では特別支援学級が設置されてきたが、高等学校についても平成30年度から通級が制度化されたが、都道府県教育委員会の理解を更に進め真のインクルーシブ教育となるよう要望します。
(2) 幼稚園、小・中学校、高等学校で、障害のある児童生徒の障害特性に合わせ「特別支援教育支援員」の配置がされていますが、高等学校では全国で900人と少なく公・私立学校で必要な「特別支援教育支援員」の配置がスムーズに行われるよう財政措置の拡大を要望します。
(3) 重度訪問介護の支援対象に重度の障害がある大学生の大学内と通学とが認められましたが、大学生以外の学齢期の生徒にも適用して通学(学習)を加えるよう要望します。 (厚生労働省再掲)
(4) 特別支援学校にPT,OT、STの配置を要望します。教員では専門知識が無いため、個々の成長に合った指導が
出来る方の配置ができるように制度の充実を要望します。
(5) 特別支援教育における医療的ケア体制の充実と補助教員等の配置が充分に図られるよう要望します。
(6) 人工呼吸器を使用していると保護者の付き添いが求められます。付き添わなくても学べる施策を講ずることを要望し
ます。
(7) 移動支援制度は地域生活支援事業で自治体の判断で認可される必須事業とされていますが、自治体間で利用の在
り方が異なっているため地域間で差が生じ公平性がありません。どのように考えますか。全国一律の制度となることを
要望します。(厚生労働省再掲)