令和2年度心身障害児者関係予算に関する重点要望
全肢連では障害児者の医療、教育、職業、生活等の制度の改善、生活環境の整備、障害者福祉全般の向上をはかるため、実情と問題点を提起し、一般社会の理解を深めるための運動を進めるとともに、行政及び関係方面への要請活動等を展開しています。
厚生労働省
制度
「在宅医療の充実」について
- 障害者の在宅医療を進め、小児科医、小児神経医、内科等の在宅医療推進を制度的に推進し、重度心身障害者、難病患者、医療の必要な高齢障害者の地域生活を安心して継続できるよう図られたい。
「訪問系サービス」について
- 訪問系サービスが在宅外でも利用できるようにし、事業者の参入を促す環境の改善を図られたい。
「地域生活支援事業」について
- 地域生活支援拠点整備を早急に推進するために一層の支援を図られたい。
医療的ケア
「医療的ケア全般」について
- 18歳以上の心身障害者の医療の確保を図られたい。18歳以上になった心身障害者(特に身体障害者)を身体面及び精神面から総合的に診察していただける医療機関がないため、18歳以上になっても小児科に受診しているのが現状です。18歳以上の心身障害者に総合的に対応できる医療体制を確保し、いつまでも小児科に診ていただけるよう図られたい。
地域生活
- 地域の保育園等で医療的ケアが必要な子どもが、訪問看護が受けられるよう体制整備を図られたい。
- 医療的ケアが必要なこどもたちの地域の保育園での受入が看護師不足で受入していただけない状況です。看護師不足を補うために、看護師体制を整える制度として教育体制整備事業費補助金制度があるが、制度自体がまだ十分に浸透していなく、また保育園は対象外と思われます。共働きの家庭が多くなり地域の保育園等に入園を希望する方も多くいます。補助金制度を周知、徹底すると共に保育園等での適用をしていただきたい。また看護師不足を補い、医療的ケアが必要な子どもが必要な時に訪問看護が受けられるように体制整備を是非、図られたい。
- スペシャルニーズに対応できるかかりつけ医の養成を図られたい。
重度障害児者
「重度障害児者への支援」について
- 厚生労働省は文部科学省と協働し、医師並びに看護師、その他専門医療職を目指す学生が、医療的ケア等の必要な重度心身障害者やその家族と接する機会が得られるような仕組み(医学部卒業までに重症心身障害児施設等での実習を含む必要な単位にするなど)の構築を図られたい。
- 入学前の障害を持つ子どもは幼稚園や保育所への受け入れは市町村の担当課の判断によるもので、その壁は高いと聞く。遠くの福祉施設に通うことが困難な子供が近くの幼稚園に受け入れてもらうことは、インクルーシブ教育の原点と考えます。障害を持つ子どもの近くの幼稚園・保育所で受け入れを可能にするために加配職員の配置等に関して、自治体への指導を図られたい。
生活保障
「住まい・グループホーム」について
- 重度重複肢体不自由者(身障1種2級以上、療育手帳A判定、介護区分6)のグル-プホ-ムへ入居した場合、「障害者基礎年金」や「特別障害者手当」」等の支給金額よりも多くかかる事業所もある。重度重複肢体不自由児者にとって就労は難しい状況であり、「年金」「手当」以上の収入は望めない。
一人の独立した個人として、重度重複肢体不自由者が地域で最低限の健全な生活が営むことのできるように年金のあり方にとらわれず、生活支援の保障としての拡充を図られたい。
- 国の方針に基づき、施設入所から地域移行をめざしているが、グループホーム等の整備が未だ不十分である。重度障害者が利用できるグループホーム設置促進と、障害当事者、親の高齢化による入所の必要性が高くなる事への対策として、住まいの場の整備と重度障害者の入所施設の確保を図られたい。
- 医療的ケアを伴う障害児者のショートステイ(短期入所)事業に地域の福祉施設が参入できるように環境整備を図られたい。
移動支援
「移動支援」について
- 現状の移動支援制度は「個別給付」と「地域生活支援事業」の二本立てで行われており、一法律一制度でありながら、現制度化の地域生活支援事業では地域間格差を解消する手立てが厳しく自治体の裁量で決定されることから、地域格差が益々生じており真に必要なサービスが得られないという現実がある。
移動支援の改訂は報酬改定時期に合わせる事とすることから、地域活動支援制度の活用だけでなく、全国一律の制度とすることに加え、通勤・通学など個別給付施策としての制度化の推進、拡大を図られたい。
障害者の65歳問題
「65歳以上障害者の障害者総合支援法と介護保険の併給」について
- 障害者が65歳になると、それまで受けていた障害者福祉サービスから介護保険サービスに優先適用されるが、障害者が必要とするサービスが介護保険サービスにない、生活介護の継続利用が必要なことから、平成27年2月18日付けで、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課障害福祉課から各都道府県等に対して事務連絡で「併給可」の通達の更なる周知、徹底を図られたい。
災害時・緊急時
「災害時・緊急時」について
- 医療的ケアに関わる医療機器が災害時でも維持できるように自宅及び避難所における機器のバッテリー化と自費で購入する予備バッテリー購入に助成を図られたい。
文部科学省
「医療的ケアの教育等」について
- 車いす利用者・医療的ケアを必要とする児童が特別支援学校、普通学校に通学する時、保護者が通学手段を持ちえない場合などがある。通学に係る移動支援は現状の個別給付と地域生活支援事業に限らず、特別支援教育の個別給付施策としての実施を図られたい。
- 障害者スポーツ推進のため、特別支援学校に指導者の養成と用具(スポーツ用車いす、ボッチャ、ハンドアーチェリー等)の充実を図られたい。
「公共施設のバリアフリー等」について
- 公共施設等の多目的トイレに大人用ベッド(ユニバーサルシート)の設置促進を図られたい。
国土交通省
「交通機関のバリアフリー化」について
- 車いすで外出をする際の公共交通機関のバリアフリー化を進められたい。新幹線には、数人の車いす席しかないのに愕然となる。指定席に乗ろうとしても、通路を車いすが通らない。2車両に4席くらい折り畳み式の座席があれば、友人ともに気軽に乗車が出来る。また、狭い入口に狭い通路のためにと、電動車いすの方を乗車拒否しないように図られたい。
- 空港、駅、自治体等公共施設等の多目的トイレに大人用ベッド(ユニバーサルシート)の設置促進を図られたい。
内閣府
「共生社会の実現」について
- 2020東京オリンピック・パラリンピックンの「パブリックビューイング観戦」
重度心身障害者が競技会場へ観戦に行くことはかなり困難で、医療的ケアの当事者でも、自国開催の「オリンピック・パラリンピック」を楽しめるようなパブリックビュー陰部を全国各地の福祉施設など、障害者に配慮された場所(医療機器電源など)して、みんなで8K放送による「パブリックビューイング観戦」ができれば、障害児者にとって『最高の思い出』になるとともに、将来パラアスリートを目指すきっかけとなる。
1.公共施設等の多目的トイレに大人用ベッド(ユニバーサルシート)の設置促進を図られたい。